概要

東京及びその周辺の都市は日本の1.27億人の人口のうち四分の一もの人々が住んでいる。非常に破壊的な威力を持つ地震が首都を西暦1703年1855年1923年に襲い、1923年の地震では10万5千人もの命が奪われた。東京周辺の人口が1923年当時よりも6倍にも膨れ上がっている今、このような地震災害が再び起きる事の影響はどんなものであろうか?

日本政府は1855年の安政-江戸地震のようなM=7.2の地震が東京直下で起きた場合の災害影響を考慮した。その結果、もし風の強いラッシュ時刻の夕方に大型地震が起きるとすると、死亡者1.1万人、怪我人21万人、84万件の建築物損害、および1億トンもの瓦礫と化した残骸が予想されることがわかった。その内、半分以上の死亡者と四分の三の家屋の破損は火事によって引き起こされると言われている。このような地震の損害額は約百兆円(日本の国家予算の130%)にもなるであろうと考えられている。残念ながらその損害のうちわずか5%しか保険で補償されず、残りの損害は国家や経営者、各家庭にて負担されることになる。

このような損害は世界の経済状態をも影響せざるを得ない。日本はアメリカの財務省証券のうち17%(約7千億ドル)を所有しており、アメリカにとって最大の外国人証券所有者であることから、日本が被災後に多額の引き出しをする事によるアメリカへの経済影響は計り知れない。

プロジェクトの目標

このような大型地震による被害は人命、文化、経済的に多大な損害を及ぼす為、地震の可能性を理解することが必須になる。よって、我々の目的は日本の特徴的な歴史地震と地盤の変形を説明できる地震災害予測法を編み出す事である。我々のモデルは400年にも及ぶ東京周辺の歴史地震の記録に対して分析される。歴史地震に加え、現代の地震活動の速度と分布、GPSによって測定された地球の表面の変位などに対しても分析される。我々は次にこの地震災害予測モデルを使い時間依存性の確率論を開発し、今後の地震予測を確立する。このプロジェクトは日本、アメリカ、ヨーロッパの科学者によって入念に吟味される。

アメリカ地質学研究所(USGS)−活断層研究センター(AFRC)−Swiss Re社によるコラボレーション

Swiss Re社は地震災害時に保険会社のキャパシティを超えた地震損害に対して補償する会社である。つまり、世界中の大手保険会社をクライアントとする保険会社の為の保険会社である。USGS(アメリカ地質学研究所)では自然災害が社会に与え影響を研究しており未来の地震予測を理解する上でのツールを開発している。日本の独立行政法人産業技術総合研究所であるAFRC(活断層研究センター)は東京の地震について包括的な知識を持ち合わせている。共同研究開発協定に基づき、これらの3つのパートナーが東京エリアの地震発生を総合的に理解する国際的コラボレーションを立ち上げた。全ての研究成果は公開しており、企業秘密などではない。ロス・スタイン(アメリカ地質学研究所)と遠田晋次(活断層研究センター)が研究リーダーとなっている。マーティン・ベートッグがSwiss Re社からの代表であり、Swiss Re社のミュンヘン、ニューヨーク、東京の科学者もプロジェクトに深く関わっている。又、日本を代表する大学や独立法人からの若い日本人研究者も加わり、我々は自らを「チーム・トーキョー」と名づけている。

プロジェクトの成果

我々の調査結果は日本のクライアントのために行われたSwiss Re社のバイリンガルセミナー(2005年6月)で発表され、更に東京、サンフランシスコ、ニューヨーク、チューリッヒ、ロンドンの学会や大学等でも発表された。「チーム・トーキョー」は15本もの論文を最高レベルの国際的科学雑誌などに提出し出版されている。我々が使用したデータは:(1)隆起海成段丘や津波堆積物に記録されている大地震の情報(過去7000年の間に起きた17回ものM〜8地震の情報も含まれていてる)、(2)過去400年の間に起きた1万件もの地震観察記録データ、(3)過去30年に30万件もの地震を記録した地震観察ネットワークのデータ、(4)過去10年に記録された日本の150ものGPSステーションGeoNetのデータ、などである。これらを用いてテクトニック構造を再解明し活断層とそのすべり速度を調べ地震の頻度を調べる。

我々は太平洋プレートの一部のブロックが東京下でフィリピン海とユーラシアプレートの間に挟まれていると提案する。このプレートのブロックが東京の1855年の安政江戸地震(M〜7.3)を含む大地震(M≦7.5)のパターンをコントロールしていると思われる。関東地方の直下で起きる地震の頻度から推測すると、安政江戸地震(M〜7.3)のような地震は30年の間に平均約20%ほどの可能性があることがわかる。それとは対称的に、1923年と1703年に起きた様なM≧7.9のプレート境界型地震のリニューアル(時間依存性)確率はこれから30年の間にわずか0.5%、平均30年の間で約10%である。総合的に見て、東京、川崎、横浜を深刻な地震振動(0.9g)が襲う可能性はこれから30年の間に〜30%である。

我々は、関東の歴史的地震記録を用い、震度観測に基づく新たなる地震確率計算法を行った。この方法は観測データが少ない地域においてもロバストな地震の空間分布が推定できる。この方法を用いて計算した巨大地震の周期は平均30年の間に東京、川崎、横浜で〜35%、千葉で〜10%である。この値は、独立した別の方法で先程推定した確率と合致しており、東京の災害が深刻なものであるという我々の見解を裏付ける。東京直下型M〜7.3地震が起こす損害が約百兆円であることを考慮すると我々の確率が予測する被害は年間130億円の損害に値する。

チーム・トーキョーが地震科学の向上貢献した研究成果のリスト

  • 新しいテクトニクスソースモデル
  • 新しい関東活断層スリップモデル
  • 新しいM>6.7歴史地震のカタログ
  • 新しい関東地震震度減衰モデル
  • 新しい1923年と1703年の地震のソースモデル
  • 1923年の測地学的データを増大する
  • 1600年以降の1万件以上の震度の資料収集と編集
  • 地震の頻度と周期を観測する新しい方法を開発
Designed and maintained by Volkan Sevilgen, USGS Disclaimer